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2023/5/15
2021年10月19日、 山形大学、帝京科学大学、小笠原ホエールウォッチング協会から構成される調査チームは、 小笠原諸島父島列島沖合海域での鯨類の生態調査中に、少なくとも6頭の「タイヘイヨウアカボウモドキ」を発見しました。
タイヘイヨウアカボウモドキは、インド洋と太平洋の温暖な海域に分布するハクジラの仲間で、世界的にも珍しく情報の少ない鯨類の一つとされています。
小笠原諸島周辺海域では、1999年に公表された論文(Pitman et al. 1999)において、硫黄列島以南での発見記録が3件報告されていますが、今回の発見は、それ以降における新たな記録であるとともに、小笠原群島周辺海域での初めての確実な発見記録となりました。
今回の観察では、船上からの写真撮影に加えて、ドローンを用いた上空からの映像の撮影にも成功したことで、本種の形態的特徴や海面付近での遊泳行動に関する情報を得ることができました。
日本周辺海域における本種の洋上での発見報告は少ないことから、本報告は、本種の海域利用を把握する上で貴重な情報になると考えられます。
本報告は、2023年5月15日付で学術誌『Aquatic Mammals』に掲載されました。
【引用文献】
Pitman, R. L., Palacios, D. M., Brennan, P. L. R., Brennan, B. J., Balcomb, K. C., & Miyashita, T. (1999). Sightings and possible identity of a bottlenose whale in the tropical Indo-Pacific: Indopacetus pacificus? Marine Mammal Science, 15(2), 531-549.
〇発表論文
【雑誌名】
・Aquatic Mammals(2023年5月15日)
【著者名】
・辻井浩希(一般社団法人小笠原ホエールウォッチング協会)
・森恭一(帝京科学大学)
・鈴木賢(山形大学)
・妻木勇一(山形大学)
【タイトル】
・First Sighting of Longman’s Beaked Whale (Indopacetus pacificus) off the Chichijima Islands, Ogasawara (Bonin) Islands, Japan
(小笠原諸島父島列島沖合におけるタイヘイヨウアカボウモドキ Indopacetus pacificus の初観察記録)
【ドローン映像】
https://vimeo.com/825082142